コラム

2017.10.10

弁護士事務所考(第1回)

 私は、1987年に弁護士登録をし、今は亡き日下部長作弁護士の事務所に就職し、勤務弁護士(いわゆる「イソ弁」)として仕事を開始しました。1990年に、同期の弁護士である夫の黒田和夫と共に、かもめ総合法律事務所を開設しました。2002年に他の2事務所と一緒に横浜ランドマーク法律事務所を開設し、現在に至っております。

 弁護士として稼働して、今年で31年目になるのですが、正に「光陰矢の如し」でした。

 そこで、これまで仕事をしてきた事務所の歴史を少し振り返ってみようか、と言う気持ちになりましたので、時代環境等に思いを馳せつつ、書かせて頂きます。

その1 日下部法律事務所時代

1 ビルの佇まい

 最初の日下部法律事務所は、古色蒼然としたビルの3階にありました。そのビルが建った頃は、回りに大きなビルはなかったそうですが、私が就職した頃は、近くにいくつか、それほど大きくはない建物が建っていました。事務所の入っていたビルは今も「健在」で、周辺の新しいビルの中にあって、曰く言い難い「威光」を放っています。

 今は閉店してしまいましたが、私が勤務していた当時、落語家の林家木久扇(まだ林家木久蔵で人気を博していた頃)の経営するラーメン店が1階で営業しており、結構流行っていました。私も数回利用させて頂きました。ビル全体は「コンクリート造」と言うに相応しい、「打ちっ放し」感のあるものでした。階段は場所によって「傾斜」があり、決して「粗忽者」ではないはずの知り合いの女性が、その階段で転倒(落下)して大怪我をされたこともありました。

 私の「ボス弁」は、昭和30年代にその事務所で開業し、平成15年に事務所を閉じるまで、40年以上に亘り、その場所で弁護士業務を続けられたことになります。尤も、当時は、弁護士一人、事務員一人と言う事務所が「主流」で、「弁護士もの」のテレビドラマなどには、古いビルの一室の木製の扉に「○○法律事務所」と書かれた看板が掲げられている、というシーンがよく出てきたものです。

2 近隣の様子 

 事務所は、横浜地方裁判所まで徒歩で20分ほどかかる場所にありましたが、当時は若かったので、全く苦にはなりませんでした。また、伊勢佐木町の商店街に程近いところだったので、商店街に昼食に出かけることも多々ありました。当時はまだ、松坂屋デパートが営業しており、ペコちゃんの不二家があったり、昭和の趣のあるお店が沢山ありました。最近の伊勢佐木町は当時よりも、寂れてしまったように思いますが、嘗ては横浜を代表する繁華街の一つでしたから、是非復活してほしいものです。

3 業務に使う機器類等 

 私が日下部事務所に就職した1980年代後半は、所謂「ワープロ」が出始めた頃で、最初はディスプレイも一行分しかなく、英文タイプに毛が生えたようなものでした。「親指シフト」と言う、今の若い方々は耳にしたこともない方式のワープロもありました。当時は、まだ、和文タイプも多く使われていました。司法修習生として弁護修習をした弁護士事務所では、2台の和文タイプを使っていました。コピー機は全長1.5メートルほどもある大きなものしかなく、ファックスも、私が就職した機会に購入して頂きましたが、「感熱紙」と言う用紙を使うもので、日に晒されると字が消えてしまう、と言う代物でした。コピー機にも「感熱紙」を使う、所謂「青焼き」と言われているもの(薄い紙に書いた手書きの原稿とコピー用紙である感熱紙を同時に機械に挟み、原稿と「焼かれた-複写された-」感熱紙とが別々に出てくる形式のもの)があり、司法修習生として検察修習をした横浜地方検察庁では、修習生にこの「青焼き」を使わせていました。

 今でこそ、手書きの「訴状」や「準備書面」(裁判所等への提出書面)は皆無に近くなりましたが、当時は、しばしば、手書きの書面を目にしました。楷書体であれば然程問題はないのですが、年配の弁護士の中には行書体や草書体で書かれる方もおられ、判読が困難なこともありました。また、前述したようにファックスも裁判所で日常的に使われることはなかったため、地方の裁判所や相手方代理人への書面の送付は「郵便」で行うのが一般的でした。

 勿論、携帯電話などない時代ですから(ごくたまに、「その筋」と思しき方が、道端で肩から下げる大型の携帯電話を使って話をしているのを見かけたことがある程度でした)、弁護士が不在の場合、事務所に残されている手書きの予定表を頼る以外に所在確認の方途はなく、依頼者から連絡があっても、弁護士が出張などで1日不在と言う場合には、折り返しの電話をするのが、早くて翌日、週末などにかかると3~4日後ということもありました。最も事務員さんが困惑するのは、例えば、弁護士が予定をダブルブッキングした等が原因で裁判所から「貴事務所の弁護士が期日に出頭していません。もう事務所は出ているのでしょうか」などの緊急連絡がなされた時です。事務員は、一つの(多くは裁判期日の)予定しか把握していないので、どこに連絡すれば弁護士の所在の確認ができるのか、右往左往し、結局、所在を確認できず、裁判期日が空転することになる場合もありました。(次回へ続く)

(文責:黒田陽子)

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