コラム

2017.06.21

弁護士を目指す人へ①

1 弁護士の業務

 「弁護士」には渉外弁護士、企業内弁護士、市民弁護士があるが、いずれの弁護士においても弁護士である以上紛争解決のために存在するものである。わたしは30年以上市民弁護士として業務を行ってきたが、市民弁護士にとって一番重要な資質とは何かと考えてきた。一つの結論を得ることができたと考えている。

2 弁護士業務の本質 

 弁護士の業務は、紛争解決を目的とするものであり、そのために他人の紛争に首を突っ込むのが業務の性質である。

 ところが、積極的に他人の紛争に参画する弁護士がいる一方で、本質的に相容れない弁護士もいるわけで、このように混在する点が弁護士の特徴である。

 つまり、争いごとに首を突っ込むのが苦手な弁護士にとっては、弁護士の仕事は向かないことになる。

 弁護士の仕事は紛争解決業である。その意味では依頼者のために戦う弁護士と相手方のために戦う弁護士が、当該紛争に関して持てる力を出し合って戦い続ける。このように弁護士という職種には一抹の悲しさと滑稽さが感じられる。

3 市民弁護士の報酬等

 ところで、弁護士に向いていない人も弁護士になっているわけで、実際にガチンコで依頼者のために相手方弁護士に戦いを挑む弁護士というものは数が限られているだろうと思う。たとえば、弁護士業務というものをある意味で客観的に捉えて一定の時間を費消したとすると、その時間に対して報酬(弁護士費用)が発生するという、いわゆるタイムチャージ的な考え方である。

 その一方で、とにかく依頼者のために全力で相手方に勝つことを考える弁護士もいる。この手の弁護士は、時として採算を度外視して、勝つことによる解放感・高揚感を依頼者と共にすることを無上の喜びとしている。これは、弁護士が、弁護士になるまであるいは弁護士になってからもどういう環境で生活をしているか、ということと関連する。いわば、古いタイプの弁護士(旧派)に多くいるが、前者のタイプの弁護士(新派)から見ると、なぜ採算を度外視してまで他人のために熱くなれるのか理解不能であると思われている。

4 市民弁護士の本質~紛争解決業~

 市民弁護士の本質が紛争解決業にあるとすると、仮に「法律」が存在しない時代でも紛争解決をする知恵を有する。弁護士の本質を事案解決能力とみてもその方法として「法律」を使って事案解決を図る弁護士も多い。しかしながら、法律というのは、たまたま現代における社会の基準であるにすぎず、法律のない時代もあるわけで、その時代において解決する能力(=知恵)が存在しないことになる。

 ところで、市民弁護士にとって重要なものは「知恵」及び「度胸」である。知識だけで業務を行っている弁護士(以下「知識弁護士」という。)をみると、法律相談の席にわたしも同席することがあるが、相談者に対する発言の根拠はいずれも法的知識である(しかも、インターネット等の情報よりも正確性に欠ける場合が多い。)。

 たとえば、ある問題が起きて、相談者がどうしたらよいかわからないのでアドバイスがほしいという場合を想定してみると、先に述べた知識弁護士は一生懸命になってネット等で仕入れた知識を説明する。そして、解決方法には3つありますと発言してそれを個別に事細かく説明する。そして、3つの説明が終わった時点でどれを選択するかを相談者に任せるということがある。

 ちなみに、このような弁護士は非常に良く勉強をしているから、ネットからの知識であるとしても相談者にとってはすごく頼りになる先生(弁護士)であると思ってしまう。その結果、多額の法律相談料を支払うことになる。

5 弁護士費用はなぜ高いか 

 しかし、弁護士費用がなぜ高いかという問題と関連するが、弁護士費用が高いのは法的知識を説明するからではない。先の例でいくと、解決方法が3つあるとして重要なのは相談者が選択するのではなく、弁護士が相談者にとって一番良いと思う方法を説明することである。つまり、弁護士は依頼者に選択させるという安易な方法(責任が発生しない)をとるのではなく、仮に判断が誤っていれば責任が発生するというリスクを負って、依頼者ではなく弁護士が判断するから、当然弁護士費用は高いことになる。市民弁護士は、知識を売って報酬を得るのではなく、「判断」(=「責任」)を売って報酬を得るからであり、知識弁護士のように何ら責任の生じない回答(インターネット等の知識の方が正確なこともある)をするだけで弁護士費用を得るのは許されない。

 (文責:黒田和)


 

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